韓国弁護士が解説:日本と韓国に相続財産がある場合の韓国相続税と連帯納税義務

韓国の相続税は、特に海外に住む人々にとって複雑な問題となり得ます。これは日本に居住して死亡した被相続人の財産が日本と韓国にかけて存在する場合、さらに複雑になります。

今日、ご紹介となる韓国最高裁判所の判決(94ヌ5359判決)は、日本に住む相続人が、日本に住んでいた被相続人から日本所在の相続財産だけを相続した場合、韓国で相続税を支払う必要があるかどうかを明らかにしています。以下では、この判決の要点と日本居住の相続人への影響を説明します。

<目 次>

  1. 事実関係
  2. 重要ポイントと最高裁判所の判断
    1. 居住者テスト
    2. 居住者の判断基準
    3. 連帯納税義務
  3. まとめ

事実関係

この事例の事実関係は以下の通りです:

  • 被相続人Aは、日本で死亡し、日本と韓国の両方に資産を残した。
  • 相続人としては、韓国に住む相続人(妻と2人の子供)と日本に住の相続人(4人の子供)がいた。
  • 遺言は、残されていなかった。
  • 相続人全員は、韓国の相続人は、韓国における相続財産を、日本の相続人は、日本における相続資産を所有することで相続財産分割合意をした。
  • 韓国国税局(NTS)は、韓国における相続財産のみに基づいて相続税を計算した上、韓国の相続税法によると相続人全員には相続税連帯納付義務があるため、日本相続人に対しても相続税をに課税した。
  • これに対し日本相続人は、韓国相続資産を相続していないため韓国相続税を支払う義務がないと主張して裁判所に訴訟を起きた。

重要ポイントと最高裁判所の判断

居住者テスト

被相続人が、居住者で当たるかは、韓国での相続税の納付義務を決定する重要なポイントです。

  • 居住者:被相続人が死亡時に韓国の居住者である場合、被相続人の全世界にある相続財産が韓国相続税の課税対象となります。被相続人の国籍や相続人の居住地・国籍は、関係ありません。
  • 非居住者:被相続人が死亡時に韓国居住者でない場合、韓国にある相続税だけが韓国相続税の課税対象となります。

この区別は、相続人にとって支払うべき韓国相続税の範囲を決める重要なポイントです。

本事例では、被相続人Aが、韓国の居住者でないと判断されただめ、裁判所は韓国内の資産のみが相続税の課税対象であると判断しました。

居住者の判断基準

ところが、被相続人が、韓国の居住者であるのかは、どの基準で決めるものでしょうか?

韓国の「相続税および贈与税法」によると、韓国に住所があるか、1年以上韓国に居住している場合、その人は居住者とみなされます。

韓国の税務当局と裁判所は、韓国に住む家族の有無、職業および収入の現状、韓国に所在する資産、国内の経済的および法的関係などを包括的に評価することで、亡くなった方が居住者であったのかを判断します。

  • 「住所」は、家族が韓国に住んでいるか、資産が韓国にあるかなどの客観的な生活関係に基づいて判断されます。「居住地」は、相当な期間居住している場所を指します。
  • 「韓国に住む家族」とは、生活費や住居を共有する近親者を意味します。
  • 職業、家族関係、韓国で管理されている資産のために少なくとも183日間韓国に滞在する予定がある場合、その人は韓国に住所があるとみなされます。
  • 逆に、外国の永住権や市民権を持って外国に住んでいる個人は、韓国に家族を残しておらず、職業や資産の状況から韓国に戻る見込みがない場合、韓国に住所がないとみなされます。
  • 一時的な海外滞在(観光や医療目的など)は、個人が韓国で重要な生活関係を維持しているかがり、居住地の地位に影響しません。

連帯納税義務

韓国の相続税および贈与税法によりますと、複数の相続人がいる場合、相続人は、各自が受け取った、または受け取る相続財産の割合に応じて相続税を納付する義務があり、さらに自分が受け取った、または受け取る相続財産を限度として他の相続人の相続税を連帯して納付する義務を負います。後者を、相続税の連帯納税義務といいます。

ここで言う「相続財産の割合」での「相続財産」は、課税対象となる韓国の相続財産を意味し、「割合」は、民法が定めた法定相続分又は、共同相続人の間で協議により相続財産を分割した場合には、その分割比率をいいます。

この事例におきまして、韓国最高裁判所は、「被相続人は、韓国居住者ではないだめ、韓国にある相続財産を基準に総相続税額を算出し、これは相続財産分割合意により韓国相続財産を取得すことになった韓国相続人が納付しなければならないにも関わらず、国税庁が、法定相続分の比率によって相続人の納付税額を計算したことと、韓国相続財産の取得割合が「0」である日本相続人に対してまで相続税連帯納付義務を賦課したことは違法だ」と判決しました。

まとめ

この判決は、韓国と日本の両国に資産を持つ親族から資産を相続した日本の相続人にとって重要なポイントを明確にしています。

一つのポイントは、韓国の相続税は被相続人の居住地と資産の所在によって決めることです。

  • 被相続人が韓国の居住者でなく、相続財産が韓国外にある場合、韓国での相続税は生じません。
  • 被相続人が韓国の居住者でない場合でも、資産が韓国と外国(日本)の両方にある場合、外国(日本)の資産だけを相続した相続人は、韓国相続税の対象外となります。

二つ目のポイントは、韓国の裁判所は、相続人間で合意された相続財産分割合意を認めて、それによって相続税の分担割合を決めるとのことです。もちろん、非居住者の被相続人の財産が日本だけにある場合は、これが問題となることもないですけど、相続財産が日本と韓国にある場合は、この分割合意が極めて重要な法律文書となります。この合意には、各相続人がどの資産を受け取るか、特に国内外の資産を明確に区別することが求まれます。

この最高裁判所の判決にとって確認できる「被相続人の居住者生」と「財産の所在」を理解し適用することで、日本の相続人は韓国での相続税義務をより適切に処理し、自分に対する不必要な課税を回避することができます。

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